建設ロボット大図鑑

 

 1980年代末から1990年代初頭は日本のバブル経済により建設ラッシュの時代でした。その中で建設労働者の不足が課題となり、ゼネコン(総合建設業)各社を中心として施工の機械化が取り組まれましたが、その中に建設ロボットがありました。「建設ロボット大図鑑」は彰国社の「 建築の技術 施工」の別冊としてゼネコン各社の技術者の協力を得て編集されました。バブル期以降の産業のおかれた状況の中で建設ロボットの研究開発は低調となりましたが、建設現場というロボットの作業環境を十分に整えられない条件下での様々な取組みは、同様のロボットの作業環境を整えられない分野へのロボット応用のヒントになると考えられます。 (「建築の技術 施工」は2001年3月号で休刊。)
 研究開発において既往研究の調査は不可欠です。当たり前のことですが、「過去の研究開発の事例を調査したのかしら」と思うものの発表があるのも事実です。組織の中に過去の研究開発の知識のある人材がいるうちはよいのですが、世代の交代した時、そのようなことが起きる危険性が増します。このような本はそのような轍を踏まないための、ひとつの手がかりになっていくと考えられます。

「建設ロボット大図鑑 - 全自動化施工への羅針盤 -」、1993年、彰国社