リハビリテーションレジデントマニュアル

 

 専門書店では一般書店では取り扱われない本が並べられています。その店内の書棚で、その専門外の人間が効率的にその分野のことを学ぶのに適した本を見つけることができます。「リハビリテーションレジデントマニュアル」も神田の専門書店で見つけた本です。障害の種類とリハビリテーションを中心に、「レジデント必読図書」といったものまで含んで381ページにコンパクトにまとめられています。
 「システム設計」というと、ソフトウェアシステムを対象に考えられがちですが、人間・機械システムを含んでその対象領域は極めて広いものです。よい設計者は、クライアントのいうことをそのまま、図面にするだけではなく、そのことばの背景にあることまで理解して図面化する能力を持ちます。クライアントに事細かに聞いてものをつくりあげ、それがクライアントの望むものと違っていた場合、その相違点に対して「そのような話は聞いていなかった」とするのはどうでしょうか? コミュニケーション能力もまた、よいシステム設計者には欠かせないものです。
 本書は111×182×15[mm]のポケットに入いるサイズ。福祉関係のロボットの研究開発に取り組む研究者・技術者に読んでもらい、そのロボットを使用する福祉関係者の要求のことばの背景にあるものを理解するのに役立ててもらいたいと思う本です。

 

千野直一・木村彰男編集「リハビリテーションレジデントマニュアル(第2版)」、2001年、医学書院