学習用英英辞典(CD-ROM付)

 

 外国語を学ぶ場合、その学習のレベルに応じた語彙力が常に求められます。そして語彙力をつけるために単語を学ぶ上でネックとなることに、まず、文化的背景が異なることからその語の持つ意味が理解しにくいものがあることがあげられます。次にコミュニケーションを目的とした場合、単語と発音が同時に習得されなければならないのが、「単語の綴りを覚え、その上でその発音記号を読んで単語に関連付けるという手順を踏まねばならない」ということがあげられます。
 最初のものについて、学習用辞典では"note"などで詳しい解説をつけたり、文章だけでは理解しにくい内容について図や写真を収録することで応えています。これは視覚刺激という相乗作用による学習強化の役割も果たします。これは「図が多数収録」という辞典のセールスポイントからも理解されます。
 次に発音ですが、文字として印刷されたものの発音のし方はPhonicsで学べますが、これは技術を学ぶものであり、聴覚刺激の相乗作用により語彙力を高めるという目的には役立ちません。また、発音記号にしたがって自分で発音した場合、外国語としてその言葉を学ぶ者である以上、「これでいいのだろうか?」という疑問が常につきまといます。

 『単語を選択すると、その単語の正確な発音が聞こえてくる』

 これが現在の語学を学習する上で必要な辞典の機能ではないでしょうか。日本の学習用辞典も単語に関する多面的な情報の収録、多色化と工夫が凝らされ、CD-ROMが付いて発音が学べるものも現れはじめ、その発展に期待しています。が、現在のところ、「CD-ROM 付学習用英英辞典を通常の学習用英和辞典と一緒に入手する」というのがよいのではと思います。これらの英英辞典に付属するCD-ROMは「正しい発音を学ぶ」というためだけでも非常に有用なものです。

 CD-ROM付学習用英英辞典として私が最初に手にしたのは1995年版のLDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English, 1995, \3,800. )でした。その後、OALD (Oxford Advanced Learner's Dictionary with Genie CD-ROM, (6th edition), \4,400.)、MED (Macmilian English Dictionary, 2002, \3,800)を入手しました。
 OALD、MEDともに2色刷りで見易さに工夫されています。LDOCEは当時は単色でしたが同じ版でも現在のものはやはり2色刷りになっているようです。OALDは用法の解説が多く、読んでいて「なるほど」と思うことがあります。各Webサイトでは英語教師のための様々な情報提供がなされるなどしていて、これらの出版社の辞書制作に対する懐の深さを感じます。
 次にCD-ROMの使いやすさを中心に述べます。

 

■ LDOCE

 最初に入手したLDOCEは辞典のイメージがそのまま、コンピュータで使えるようになったもので、検索は便利でしたが、ハードディスクへのインストールに対応していないことがネックでした。CD-ROMの内容は普段持ち歩くノートPCで特に使いたかったのですが、そのために、わざわざCD-ROMを持ち歩く気はしませんでした。(LDOCE 3はWindows/Macintosh対応ですが、他はWindows対応のみです。)
 2003年に発行の第4版のLDOCEはまだ、手にしていませんが、CD-ROMの内容の充実度はLDOCEのサイトを見るとかなりのもののようです。ハードディスクへのインストールが可能になっていれば魅力を感じます。

LDOCE Web Dictionary

 

■ OALD with Genie CD-ROM

 CD-ROM版の辞書として"Oxford Advanced Learner's Dictionary on CD-ROM"が販売されています。このため、OALD with Genie CD-ROMは辞書の内容をハードディスクにインストールすることができますが、機能限定版となっています。インターフェースは左のようにPDAのディスプレイのような表示のみ。そしてマウスカーソルを英単語にもっていくと、その語の意味が表示されます。発音を聞くこともでき、スピーカのマークはそれを意味します。順序はBritish English, American English。
 プログラムが起動するまでにかかる時間は約10秒、他が30秒位かかるのに対して早いといえます。ただ、Webを調べたり、英文を調べたりするのにはこれでよいかもしれませんが、辞書の楽しさは前後の単語に関する情報が一緒に目に入ってくることにあります。このため、物足りなく感じます。「CD-ROMの辞書は別に購入してください」ということかもしれません。

OALD Web Dictionary

 

■ MED

 

MEDのCD-ROMによる認証が時々、できない状態が発生します。原因はこれまでのところ全て、Windowsのアップデートによるもの。
"Macmillan English Dictionaries" の "Important News"のチェックは欠かせません。
 MEDはLDOCE, OALDより後発となることから、これらのCD-ROMの内容についてよく研究されているようです。左のような画面上の表示に加え、下のように紙の学習用辞書(それ以上かもしれませんが)と同様に使うことができます。右欄のNote Bookの部分にはイラストレーションが表示されたり、その語に関する有益な情報が表示されます。
 左欄の単語の*は基本語を表していますが、これを順番に選択しながら発音を聞く、また、それに続く派生語の意味を読むなど、辞書を使った新しい学習方法を提供してくれます。他の2冊の辞書がBritish Englishが先にくるのに対して、Macmillanは発音の取り扱いに見られるように先になっています。米語を中心とした教育を行っている日本であること、また、上記のように学習用辞書とした新しい用法を提供することから、2003年3月現在、おすすめの学習用英英辞典と思います。
 なお、インストールに際して最初、CD-ROMが読めず「欠陥か」と考えましたが、販売元(紀伊国屋書店)の連絡の前に「ものは試し」とCD-ROMドライブを外付けのものにして試したところ、無事にインストールできましたが、気になるところです。Full installationで560MB、Normal installationで90MBが必要な容量です。 「30日ごとに不正コピーチェックのために、CD-ROMを要求する」とマニュアルに書かれていて、「出先でそれが生じたら少々、困るな」と考えましたが、「その時はPC自体の日時を変えて対応か」というところです。