CX-444BLACK(Velbon)

 


CX-444Black (Velbon)
伸長145cm、縮長48cm
重量1.3kg

 自由雲台に交換したとはいえ、3kgもあるPX-701FをFinePix S9000と一緒に持ち歩くのは少々、骨が折れます。カーボン三脚は軽さと剛性を両立させますが、価格が・・。そこでカメラ量販店へ物色に出かけたところ、積載カメラ質量1.5kgとするCX-444Blackが希望小売価格12,390円(税込)のところ、1/3以下の値札で販売されていました。「レリーズやタイマーを使えば・・ 。いや、安物買いの銭失いでは・・」等と考えましたが、「この価格なら使い物にならなくても」と入手しました。
 学んだのは「合成樹脂製の雲台は剛性不足のため、よい三脚を選びたい時には、まず、選択肢から外した方がよい 」ということでした。

【調整】

カメラ台の下部の隙間
(写真左側の隙間大)

クイックシュー上面に
ガタ低減用のスペーサ
ティルト軸の隙間低減

1) パン軸、ティルト軸の抵抗の低減 

  脚の剛性感は価格相応のものですが、パン軸の動きの渋いことがパンハンドルの操作力を増大させ、結果的に脚の捩れ剛性の低さを感じさせ、軽い三脚の不安定 さを増していることに気付きました。本製品のように軽量な三脚はパン軸、ティルト軸がスムーズに動く状態に調整することが必要で、動きが渋いとパン操作してフレーミングを決定してパンストッパーを効かせたら、三脚側で生じていた捩れで 微妙にフレーミングのずれしまうことがあります。
 早速、あたりがとれるまでパン軸をクルクルと回転させ、軽く動くようにしました。また、ティルト軸もフリー の状態で動きに抵抗を感じたことから同様に上下に何度も動かすことで軽く動くようにしました。 (「ビデオカメラでは使わない」とすることでこの処理ができます)

2) 水平度の調整

 パン軸の回転をチェックしていて、雲台を180°回転するとカメラの取り付け面が傾くことに気付きました。カメラ台(たて位置撮影用)が水平になっていないのが原因のようです。そこでカメラ台 を固定するネジを抜いてカメラ台を外して下面を平ヤスリで削って調整し、180度回転しても取り付け面がほぼ水平に保たれるようにしました。

3) カメラの取り付け面の調整

 S9000を、クイックシューを介して三脚に取り付け、シャッターを押すとカメラの取り付け面を中心とした微妙な動きが認められました。急いでシャッターを押すために指先に力が入った時など、三脚を使っていてもブレの原因となります。S9000の下面の三脚のシューと接触する凸部(回転防止用)がねじ穴周辺に限定され、スペーサの端の方で隙間ができ、これがシャッターを押した時の動きを増大させているようです。そこでクイックシューの上面に写真のようにガタ低減用のスペーサを貼りつけ、この対策としました。

4) ティルト軸の隙間の低減

 本三脚、外観的にはティルト軸が両端支持で取り付けられているように見えますが、よく見ると一方の軸と軸穴の隙間は大きく、片持ち梁として考えるべき構造です。この構造自体は悪くありませんが、本三脚ではS9000クラスのカメラ(シャッターと三脚ネジ穴の水平距離は約7cm)に対しては剛性が不足しているようで、カメラのシャッターを押した時の曲げモーメントでたわみを生じます。そこで上の写真のように軸の隙間に両面テープの剥離紙を挿入し、たわむ範囲を制限しました。

5) 使いこなし

 パン軸と軸穴のクリアランスがシャッターを押す際にブレを大きくする原因となります。そこで撮影時は必ずパンストッパーを締めることにしています。また、通常の使い方と逆のパンハンドルを撮影対象側にすることで、ティルト軸の支持側とシャッターボタンの距離を短くしてモーメント力を低減させ、また、カメラ台(たて位置撮影用)がモーメント力で浮き上がらない方向でシャッターを押すようにしています。なお、シャッターを押す際には、自分の手をレリーズにしたような感じでカメラの背面と前面をそれぞれ親指と中指で軽く挟み、人差し指でシャッターを押すときに力が入いらないようにし、カメラにブレが生じないようにしています。
 なお、上記のように全体として剛性の低い構造 には限界があります。私の使い方ではS9000にテレコンバージョンレンズTCON-17をつけた時が最も厳しい荷重条件で、タイマーを使ってシャッターを押した場合、振動が納まるまでに約2秒かかります(2秒タイマーでぎりぎり)。テレコンバージョンレンズを使ったり、低速のシャッター速度となる場合はタイマーかレリーズの使用は不可欠です。

【まとめ】

 本三脚、FinePix F11クラスのデジカメならば問題ありませんが、上記の撮影時の余分な手間を考えるとS9000クラスには少々、役不足のようです。カタログに記載の『積載カメラ質量』が求めている剛性を表しているものでないことを改めて認識しました。
 PH-368の経験もあり、合成樹脂製の雲台は剛性が不足するため、よい三脚を選びたい時には、まず、選択肢から外した方がよいことに気づきました。(「ビデオカメラ兼用」とする三脚も「二兎追うものは一兎を得ず」という製品になりますので、やはり選択肢から外すべき・・)。
 本三脚は、三脚を選ぶ上での良い教材となりました。