PH-368 (Velbon)

 

■ 雲台(PH-368)のデジスコ用への整備

 デジスコは2,000mmを越す超望遠の世界となります。このため、その足下を固めるのは重要で、デジスコを取り付ける雲台と三脚は振動が少なく、振動してもすぐ収まるしっかりしたものを選ぶ必要があります。加えて数十m先の小さな対象をカメラのフレームの中に望みの構図に配置するため、微妙な操作も快適にできることが要求されます。カメラ の望遠はせいぜい300mmですので、要求の精度が1桁違います。このため、雲台の動きに直結する全ての操作が気になり出しました。
 「まずは手持のカメラ用三脚PX-701Fの有効利用を」と考えて 、パンと ティルトにアジャスタブル機構を内蔵したオイルフリュードヘッドを特徴とする安価なビデオ雲台PH-368(Velbon、0.64kg)を入手し 、取り付けてみました。

PX-701FにPH-368取付 PX-701FとPH-368の隙間 PH-368下面リブに滑止め

 最初に直面した問題は三脚と雲台の取付け面が密着しないために、パンのアジャスタブル機構を硬い動きにした場合、雲台そのものを外す方向に廻ってしまうこと、そしてこの密着しないことから ティルトの操作をした時にスコープの先端がピタッときまらず、たわみ分、ずれてしまうことでした。この対策としてデジタルカメラCoolPix 4300の滑り止めとしても使っている1mm厚のスポンジ(東急ハンズの材料売り場でCRスポンジST付(東洋インクのDF-2400CHで1×200×300(mm)で裏面に接着剤付。230円で販売)をPH-368の下面のリブ部に写真のように対角方向に4箇所貼り付けました。これで雲台そのものが緩む現象や密着不足から生じるスコープ先端の揺れ戻しのような現象は改善することができました。
 次に三脚PX-701F自体の各部のネジをチェックしたところ、緩みが結構あり、ガタの原因となっていました。15年前の製品でその間、一度もチェックしていなかったのですから当然かもしれません。早速、三脚をセットする時、「少し硬いかな」と思うくらいに増締めしました。
 取り付け面の改善、三脚のガタの改善により、次にでてきた問題はアジャスタブル機構自体に起因するものでした。パンのアジャスタブル機構を緩い状態にして ティルトの操作をするとパンのアジャスタブル機構の上側が動いてしまい、やはりスコープ先端の揺れ戻しのような現象が生じます。ティルト側は微妙な操作をしたいためにある程度硬くしたいですが、硬いとパンのアジャスタブル機構にかかる力は大きくなり浮き上がりが増えます。この浮き上がりを減らすにはパン側のアジャスタブル機構を硬い側にする必要があります。これは、パン側の「対象物の導入がしやすいように本来、スーッとまわってピタッと止る」という要求に対して相反するものとなります。実際、浮き上がりを少ない硬さとすると三脚側に手を添えて動かないようにしてパンする必要があります。この雲台の構造的な限界と考えねばならないようです。 (後にCX-444Bを「何とか使えるものにできないか」と調整を試みて、合成樹脂製の 雲台は剛性不足から選ぶべきではないことにやっと気付きました。)