携帯電話

ダイヤル操作性

 

 携帯電話のダイヤルボタンの操作性、「携帯からは電子メールの操作をしない」、「電話番号を登録した相手にかけることが主」であれば、気にすることはないかもしれませんが、このような人は稀と思います。 DOCOMOのpreminiがでた時、『電話帳をPCで編集して携帯に登録し、この登録された電話番号にジョグダイヤルと左右のボタンを使って電話。小さなダイヤルボタンは非常用。』と割り切った小ささの限界を求めたデザインに、「マーケットは大きいと思えないけれど、作ってもいいの?」と驚かされました。
 ヒューマンインターフェースは興味の対象領域のため、携帯電話のダイヤルボタンについて少し書いてみます。

携帯電話のダイヤルボタンのピッチ

 タイプライターのように手の甲の位置を動かさないで各指で別々にキーを押すことのできる左右のキーピッチ間隔は普通のキーボードで19mm。これより狭いものになると個人差がありますが、16.5mmのMC/R520が誤りが少なく打てる限界で、14.1mmのSigmarionだと無理してできないことはないけれど打ち間違いが多く実用的ではないということを身をもって体験しています。
 様々な人が使うことになる電話機(ワイヤレス子機を除く)でデザイン性よりも機能性を優先させたものは20mmのピッチをとっているようです。1本の指の指先で操作することを考えれば、「指先が他のキーに触れない」ということが条件となり、これも指先の形状は人によって様々で一概にピッチをいうことはできませんが、電卓や電話のワイヤレス子機などの周りにあるものを調べると左右方向で11〜12mm、上下方向で10mmというのが最小寸法のようです。このような小さなキーでは隣のキーに誤って触らないようにキーの角の部分を斜めにしたり、キーとキーの間隔を空けるデザインがされています。
 携帯電話は、片手で持ってその手の親指で操作されることが多いことから、それを前提とした指使いの操作を考慮してダイヤルボタンは設計されるべきと思いますが、「携帯性」という寸法の制約から操作性を確保しながらデザインを成立させるのは難しいもののようです。
 なお、PALDIO 611SD501iを操作して感じたことですが、ダイヤルボタンの材質も重要で防滑性のあるものの方が操作感に優れています。

SO505iのダイヤル操作性

 SO505iは「ダイヤルボタンの操作性が良いから選んだ」といっても過言ではありません。
 この後継機種のSO505iSは8mm薄くなったのはよいのですが、回転軸が中央寄りになったためにダイヤル面が狭く、ダイヤル下側の寸法は普通の折畳み携帯並で操作が窮屈。形は似ていますが操作性からは全く別物となっています。Sony EricssonがAUのために作っているW21S、横幅はSO505iと同じ50mm、ダイヤル部分の下側も長く、「片手でのダイヤルボタン操作感はどうだろう?」と触れてみると、それほどよい操作感は得られません。ボタンの横幅がSO505iより長いこと、それから握り部分の厚さが薄いことが理由のようです。厚さについては握り部分の厚さが15mmのPALDIO 611Sでも感じました。SO505iのダイヤルボタン操作部の厚さは18mmあり、ダイヤル操作面は指の動きに配慮したかのように凹んでいます。
 携帯性は損なわれますが、操作性の面ではある程度の厚さが必要なことは興味深い発見でした。