FinePix F11にコンバージョンレンズ
FinePix
F11を使っていて「(35mmフィルム換算)28mmの広角域があれば・・」と思うことがしばしばあります。そこで手持ちのCoolPix 4500(CoolPix
950)用の各種コンバージョンレンズを転用できるようにアダプタを制作しました。
■ 第1段階の改造
加工前のUR-E3(Nikon)とWC-E24(Nikon)
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手持ちのコンバージョンレンズはCoolPix 4500用の28mmネジのため、これに対応したCoolPix775
(Nikon)用のコンバータアダプタUR-E3を加工してFinePix F11とすることにしました。UR-E3の希望小売価格が1,500円
と安価なことも理由です*。
UR-E3は付属のカメラ固定用ボルトでFinePix F11に固定します。そこでF11の三脚穴とUR-E3に新たに加工する穴
の位置やレンズとの位置の調整がポイントとなります。 |
UR-E3加工後(第一段階)
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UR-E3の穴明け位置 |
FinePix F11のレンズ前玉とコンバージョンレンズの後玉の距離が短
かくなるようにレンズの周囲の面を基準にして調整しています。次にコンバータアダプタUR-E3の調整方法を述べます。
*:KOWAのスポッティングスコープ用として汎用のユニバーサルカメラアダプターTSN-DA4が現在、発売されていますが、希望小売価格が3万円近くなります。
【左右方向】
UR-E3のカメラ取付け面にはレンズ中心に対応する位置に製造上の継ぎ目のラインがあります。FinePix
F11の三脚穴もレンズ中心の鉛直線上にあることから、UR-E3の継ぎ目のライン上に上記のカメラ固定用ボルトの穴明けを行います。(後継機のFinePix
F30は3脚穴がオフセットされているため、加工上はF11の方がやりやすい!)
【前後方向】
FinePix
F11のレンズ周囲の形状ではUR-E3の基準面をとれないため、アダプタにリングを取付け、これとレンズ周囲の面を接触させて平行を出
すことにしました。UR-E3の形状から左上の写真のように外径42mm、内径32mmのリングを介してF11と接触させることが必要となります。手持ちの工作道具の関係から3mm厚のアクリル板を入手し、ホールソーで
穴を開け、全体を1.5mm厚にやすりで
削った上、更に外周に近いUR-E3と接する部分を0.7mm厚に削り、できあがったリングを両面テープでUR-E3に接着しました。
そしてUR-E3をFinePix
F11のレンズ周囲の面で接触させ、UR-E3の下側の3脚穴のφ6mmの穴明け位置を決めました。写真のように爪の内側から19〜20mm(目安)の位置が穴明け位置となりました。
なお、穴の周囲の削り加工はF11の底面に突出するビスの頭や凸部と接触を逃げるためのものです。
そしてUR-E3とF11の隙間(液晶面側)はUR-E3側にウレタンフォームを貼り付けてガタつきを防ぐようにしました。
【上下方向】
FinePix
F11のレンズが出てくる時にUR-E3にぶつからないことを確認しつつ、0.1mm厚の接着付アルミ薄板をカメラ取付け面に貼り重ねて、FinePix
F11の高さ方向の光軸調整をしました。スポッティングスコープTS-613にアイピースTSE-14W(30倍)を取付け、FinePix
F11のワイド側でケラレをわざと生じる状態として画像が中心となるようにアルミ薄板を貼っていきました。1.7mm貼り重ねて高さ方向の調整ができました。そしてアルミ薄板を細くカットしたものを左上の写真の3脚穴の手前側に貼り、カメラ取付け時にUR-E3が板バネのように機能してFP-F11とUR-E3のレンズ周りの密着度を高めるようにし
ました。
■ 第2段階の改造 [追加記述]
FinePix F31fdにUR-E20を装着可能としたことでシステムカメラの中心はF31fdとなったことから、合成樹脂製で構造的に剛性不足が課題であったUR-E3改の補強を行ないました。補強の方法は3mm厚のアルミ製のアングル部材をUR-E3の外側に接着するもので、UR-E3の形状にあわせてアングル部材を金工用ヤスリを用いて根気よく加工した上、接着しました。
(後に捻り剛性不足から下の写真のL字型のアルミ板を補強に加えています。)
補強したUR-E3単体に力を加えてみると明らかに剛性が高くなり、変形は感じられません。しかし、FinePix
F11につけて約150gのTC-E2をつけ、両手でアダプタとカメラの両方を支えた状態と、カメラ本体だけで支えた状態で、アダプタとカメラ本体の隙間を比較してみると、若干ですが、後者で隙間が生じるのが認められま
した。片持ち梁の構造の限界のようです。
FinePix F31fdと同様にレンズ周囲にアダプタ用のネジを追加してアダプタをねじ込む構造も考えたのですが、UR-E20改を流用できる46mmのネジではFinePix
F11のマイクを覆う大きさとなり、また、デザインをあまり損なわないで済む37mm程度のステップアップリングは既に流通していず、F11の改造にまで着手することは断念し、UR-E3の改造を終
えることにしました。
補強したUR-E3
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UR-E3の側面をL字型のアルミ板で補強
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FinePix F11とテレコンバータTC-E2の接続
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【評価】
FinePix
F11にワイドコンバータWC-E63を組み合わせた場合、35mm判換算22.7〜45mmの範囲であれば画質の劣化は気にならないもので、56mmだと周辺のフォーカスの甘さが若干でてき、テレ端(68mm)ではフォーカスの甘さが全体に拡がります。CoolPix
4500でもテレ側がソフトフォーカスがかかったような画像となることから同様の傾向といえます。
建物撮影にはWC-E63を使いたいところですが、WC-E63の135gに対してWC-E24は64g、また、サイズも上の写真のようにWC-E24が小さく、携帯性に優れていることから悩ましいところで
した。
その後、FinePix S9000とワイドコンバージョンレンズWL-FXS6との組合せで得られた35mm換算22.4mmの画像とF31fdとWC-E63で得られた同22.7mmの画像を比較し、後者が端部で歪曲収差が30%ほど少ないことがわかりました。それ以来、WC-E63が常用となりました。
F11、F31fdの8〜24mmのレンズは歪曲収差の少ない基本性能のよいことがそのままでているようです。
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