FinePix F11 (FUJIFILM)

 

導入の経緯

FinePix F11とFinePix S9000の比較

 メモ用カメラを物色していてFinePix S9000を入手し、撮影枚数は5,000枚を超えましたが、やはりメモ用カメラの代替とはなりません。そこで メモ用カメラとして最初に候補となったFinePix F10にシャッター優先AE、絞り優先AE機能を付加した後継機のFinePix F11を店頭で操作してみました。
 カメラ前面の指がかりする部分の凸部のラインと背面の親指がかかる丸い凹部でホールディング性が手によく馴染みます。いたずらに薄さを競う最近のコンパクトカメラ より、本機の厚さが好まし く思えました。(カメラの薄さは画質と直結するCCDサイズに関係ありますので・・)
 35mmフィルム換算28mmから始まるズームレンズのLUMIX DMC-FX01 (Panasonic)も候補に考えましたが、ISO 800/1600の対応は画素混合で、FinePix F10やF11に比較すると高感度での画質に満足できません。そこでF11の選択となりました。

 

使い方

  本機と一緒に1GBのDPC-M1GBと購入しました。
 600万画素の解像度、高感度撮影での画質、一度の充電で500枚を超える撮影枚数に対応できること、そしてこれまでメモ用に使ってきた CoolPix 4500 (400g)から 半減となった 200gの重さは、メモ用カメラとして更新してよかったと満足できる性能です。また、CoolPix 4500はズーム倍率を4倍に拡大することを優先して設計されたためか、35mm判換算で38mm相当の広角側での歪曲収差が大きく、「美しくない」と思っていたのですが、F11は同36mmと広角が2mm拡大しているのに歪曲収差は少なく、この点でも満足しています。なお、これで広角域が28mm相当になっていたら200%満足 だったのですが・・。
 また、出先で動くものを撮りたくなった時のことを考えてビデオカメラを携行するのは荷物の面からできなかったのですが、本機で気軽にムービーが撮影でき、AVIファイルとしてそのまま、PCで再生できるようになったことから、動画がより身近なものになりました。
 デジタルカメラはバッテリやメディアを常に出し入れするものと思っていたため、本機のバッテリとメディアの蓋の操作性が少々悪く感じました。 バッテリとバッテリ室の隙間は短い手方向で約1mmあり、蓋を開けた時のバッテリのガタツキの原因ともなっています。メディアを交換する際にバッテリの電極がカメラ本体と離れて年月日がクリアされることもしばしばあります。そしてマルチコネクターアダプターの使い勝手も 「?」と感じました。そして考えているうちに、「本機は一度、バッテリ、メディアを入れたらそれらを出し入れしない」ことを前提に設計されていることに気づきました。
 なお、バッテリには現在、CoolPix 4300で入手した1mm厚のスポンジ(CRスポンジST付(東洋インクのDF-2400CH))を7×20(mm)にカットした断片をバッテリのグリップに近い面に貼り付けてガタツキをなくし、また、カメラとバッテリの接点が離れやすい欠点を改善しています。(小さいサイズとしたのはバッテリの放熱を妨げないため)

 

オプション

■ 滑り止め

FinePix F11 with body leather
ボディ・レザー(ヨドバシカメラ)
 F11は指掛かりを配慮したデザインですが金属面は滑りやすいことから、ボディ・レザーを貼り付けました。化粧だけでなく、実用的で持った時の安心感が高まりました。また、このボディ・レザーとセットになっているハンドストラップは余裕があり使いやすい長さです。
 なお、オプションのFinePix 純正のストラップは約2倍の長さで、「首にかけることも想定した長さなのだろうか?」と考えてしまいました。

■ 撮影域の拡大

 手持ちのCoolPix 4500CoolPix 950から引き継いだ資産)の各種コンバー ジョンレンズをFinePix F11で使えるように、アダプタUR-E3 (Nikon) を改造して、28mmフィルタネジに対応させました。これにより、CoolPix 950用に入手した28mm径のCircularPLフィルター、NDフィルター も使えるようになりました。
 なお、CoolPix 4500用のテレスコマイクロ8×20Dは作ったアダプタの剛性不足でFinePix F11で使用するまでに至らず、CoolPix 4500専用となっていました。(後日、FinePix F31fdを改造して剛性高くアダプタを装着可能となったことから、CoolPix 4500の役割は終えました。)


加工したUR-E3(Nikon)

【ワイドコンバージョンレンズ】

FinePix F11 with WC-E24 36mm 24mm
FinePix F11 with
WC-E24(Nikon)
ワイド端
(36mm相当)
ワイド端でWC-E24使用
(24mm相当)

 旧い建物を撮影することが好きで35mmフィルム換算36mmから始まるFinePix F11の広角域は、建物が画面に納まりきらないことが多くあります。これがアダプタの製作により、CoolPix 4500用のWC-E24(Nikon) あるいはWC-E63(Nikon)が使えるようになり、35mmフィルム換算24mmの広角撮影が可能になりました。 (⇒ コンバージョンレンズの評価

【テレコンバージョンレンズ】

 アダプタUR-E3でCoolPix 4500用のテレコンバータTC-E2が使えるようになりました。テレコンバージョンレンズの常でワイド側がけられ 、ケラレがないのは35mm判換算120〜216mmとなります。ただ、TC-E2単体で約150gとF11本体とあまり変わらない重量で、身軽が第一のコンパクトデジカメとこのコンバージョンレンズを組み合わせる場面が今ひとつ浮かばず、「使える」という 実験評価に留まっています。なお、FinePix S9000が手元にあることもひとつの理由かもしれません。


TC-E2(Nikon)

【フィッシュアイコンバータ】

Fisheye view with FC-E8
フイッシュアイコンバータFC-E8と

 CoolPix 4500用のフィッシュアイコンバータFC-E8をUR-E3を 介してFinePix F11と組合せた場合、 左の写真のように円周魚眼の画像がワイド端の35mm判換算7.6mmで得られます。CoolPix 4500と比較すると画素数増以上に中央部の鮮鋭度が高まりました。他方、相対比較で画像周辺部のフォーカスのあまさが目立つものとなりました。ケラレがなくな り対角線魚眼として使えるのは35mm判換算15mmくらいからです。被写体によってはテレ側で画像周辺の色収差が4500と比較して目立ち、色収差に起因するフォーカスの甘さも気になってきますので35mm判換算19mmくらいまでを使用範囲としています。
  一眼レフカメラのために専用設計された単焦点の魚眼レンズや超広角レンズと、ズームレンズとの組み合わせとなる安価な本コンバータの画質を比較しても意味のないことですし、安価に特殊レンズの効果を試せるという観点から楽しんでいます。

【デジスコ】


TS-613(KOWA)+FinePix F11
 CoolPix 4500はデジスコ用のカメラとして用いていますが、UR-E3によってFinePix F11がこの代わりとしても使えるようになりました。

 

月の撮影 

■ 外部ストロボの実験とリングライト

 FinePix F11のフラッシュはAUTO時、広角で約30cm〜6.5m、望遠で約30cm〜4mで、コンパクトデジカメであることを考えれば十分なものです。しかし、 更に撮影範囲を拡大できないかとストロボ(PE-321SW) とスレーブユニット(ホットシュー付、エツミ)を組み合わせて実験してみました。残念ながら、本機もCoolPix 4300と同様にプリ発光でストロボが動作してしまい、適用できないことがわかりました。
 28mmのフィルターねじのあるアダプタUR-E3の装着によってCoolPix 4500用のMACRO COOL-LIGHT SL-1 (Nikon)も使えるようになりました。 リングライトSL-1はホワイトLEDを使っていて対象の反射が強い場合、光源が点々に見えるため、距離を変えてこれが目立たないように使う必要があります。下のリングライト有無の比較写真の人形は全高55mm。


FinePix F11 with SL-1 (Nikon)


リングライト OFF

リングライト ON

■ カメラケース



SPG-TPMC-BK (HAKUBA)

ソフトケース
SC-FXF10 (FUJIFILM)
 最初はデジタルポッシュSDP-STSS-BK(HAKUBA)を使っていましたが、どこかに置き忘れてしまい、SPG-TPMC-BKをしばらく使っていました。
 専用ソフトケース(54g)がF11自体の製造終了もあって店頭に安価に出ていたため、入手し、これが常用のケースとなりました。しっかりしたつくりの質の良い牛革を使ったケースです。シャッターボタン、電源ボタン側は曲面で処理され、誤動作を防いでいます。また、スナップボタン止めのベルトループが背面に付いています。 欠点はこれまでのケースのようにラフな取扱いができなくなったこと・・。

 

TIPS

 ファームウェアVer.1.01が公開されています。「修正ファームウェアのファイルをメディアに入れ、フォームウェア更新用の起動をすればよい」と理解し、ダウンロードしたファイルをメディアにコピーしようとしたのですが、コピーできません。「FUJIFILM純正のメモリカードなどに相性?」と悩みました。そして最初は「メディアに直接、コピーできれば不要だろう」と考えてインストールしなかった本機付属のアプリケーションプログラムをインストールし、PCからUSB接続でメディアを認識させ、コピーしたら正常に処理が終了。後は記載の手順のとおりファームウェア更新の手順で処理できました。これは私と同様に悩む人がいそうです。

 マルチコネクターアダプターの設計意図を理解しながら、やはりPCへの画像の取り込みはxD-ピクチャーカードを取り出してメモリカードリーダ/ライタを利用してとなります。MCR-8U/U2ではPCによって認識できないことがあり、ファームウェアのアップデートで解決しました。