三脚・雲台(ビデオカメラ用)

 

 スティルカメラ用の雲台、三脚はカメラ(及びレンズ)を安定に支え、風やシャッター操作などでカメラが揺れない剛性があればよいのですが、ビデオ雲台のように動くものを撮影したり、画面を動かそうとすると、 さらに次のような面に配慮した設計が必要となります。
 ビデオ雲台は操作感、例えば一定の速度でパンする時など雲台の動きに適度な抵抗があった方が操作しやすい、といったことがあり、各部の動きそのものが重要な選択の要素になります。パンする時は三脚にネジレの力が作用しますので、パンの操作を止めたときにネジレ量の分だけ、画面が逆の方向に戻ることがないように三脚の部分に十分な剛性が必要となります。また、三脚に設置する面の摩擦抵抗が低い場合、パンの操作で三脚の設置面が滑らないようにある程度の重量も必要になります。また、足場の悪いところでの使用を考えた場合、できる限り低重心であることも大切な機材を守るために必要と思います。 (これまでビデオ撮影は記録のためで固定の使い方が多く、見せる絵をつくるためのパン、ティルトの操作に対するこだわりは余りなく、おもちゃのようなVCT-750RMでもさほど困らなかったのですが、デジスコのためにPH-368を色々、いじりまわしたことでやっと自分なりの評価尺度を得ることができました。)

■ メインのビデオ撮影用雲台・三脚


700RC2+756B
(Manfrotto)

  ビデオカメラの撮影のためというよりも、デジスコ撮影で使いやすいものをという目的でしたが、選択の基準は共通します。
 使いやすい個人用のビデオ雲台・三脚は最大3kg前後の携行に負担にならないものがうれしいです。最新機種は脚はカーボンファイバー、金属部品はマグネシウム、そして脚に発泡ゴムクリップというのがひとつのパターンとなります。しかし、予算もあってこれにはこだわらないことにしました。
 下記の調査からVT-523を選ぼうと考えたのですが在庫なしで、一方、Manfrottoのビデオキット(700RC2+756B)が歳末セールでVT-523並の価格で販売されていたことから、デザインの魅力もあってこれを選びました。冬の デジスコ撮影では脚を持つと冷たいことからLEG WARMERS (Manfrotto 381, DM 26.5)を取り付けました。また、スコープとビデオ カメラDCR-VX1000の 着脱が容易なように、アクセサリプレート200PL-14を追加購入しました。
 予定通り、DCR-VX1000との組合せはバランスがよいもので、また、デジスコの撮影も画面がぴたっと決まり、快適なものとなりました。

【普及クラスのビデオ用雲台・三脚の調査】

TH-650(Libec
 DVX1000クラスのカムコーダには最適といわれる製品で重量は3.2kg。3.8kgのカメラ用三脚を「重い」と思いながらも持ち歩いていましたので、この重量ならば許容です。この3脚の3段ダブルレッグ式の伸縮脚はパンの動作方向に高い剛性を得やすく、また、弱点となりやすい伸縮部の剛性も高くできる構造といえます。しかし、パンの操作力が軽すぎること、 ティルトした時の雲台の微動が感じられたことが気になりました。定価が25,000円(以前は38,000円)ですから望み過ぎといえばそれまでですが・・・。

VT-551、VT-523(DAIWA)
 オーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』の制作を描いた作品『プロデューサー』の中で、低い視点からの絵が欲しいため、床に穴をあけてその中に入って撮影、というエピソードがありました。このような低いポジションからの撮影が可能なものにVT-551(DAIWA 、1.96kg,、\26,800)、VT-523(2.77kg, \37,800)があります。VT-551でも三脚自体は操作に対して十分な剛性はあるようです。ただ、ティルトのブレーキ解除に操作力が必要で、雲台を揺らしてしまうのではないか、というのが気になりました。VT-523はカメラのバランスプレートの内蔵で重心調整を可能とし、また、 ティルトロックを緩めた状態でカメラがお辞儀をしないようにバネ機構(?)を内蔵するなど、真面目なつくりとなっています。また、VT-551と価格的にはそんなに差がある訳でないのに、雲台の材料も異なり、価格以上のつくりといえます。なお、パンの操作感はTH-650ほどではないですが、少し軽めで好みが分かれるところかもしれません。

700RC2+756B(Manfrotto)
 ビデオキットとしてビデオ雲台700RC2、ビデオ三脚756B、キャリングバッグ190の組合せが販売(2.72kg、定価49,000円)されていま した。756Bの台座部分はアルミ合金ダイキャスト製のようで機械加工精度も高く、脚のパイプ材料も少し厚いようで「VT-523より剛性が高いのでは?」と感じました。700RC2はVT-523に比べるとパンの操作抵抗が大きく、DVX-1000、-2000クラスの家庭用としては大型のビデオカメラを載せた時にちょうどよい抵抗感でスムーズな操作ができる感じがしました。一方、それより軽量のものでは設置面が滑りやすい場合にはパンの操作力で三脚が動いてしまわないようにバランスウェイトを三脚に下げるなどの対策が必要かなと思いました。VT-523のパンの操作力はそのようなバランスの中で作りこまれているのかもしれません。

注:  同じ機種でも操作感が異なるものがあることを、複数の店舗をまわって見て気づきました。個体差もあるかもしれませんが、店頭見本として置かれてるものの使われた方の 差もあるようです。このため、上記の記述は参考にとどめてください。

 

■ 携帯用三脚

 DCR-PC10(SONY)と組み合わせ 、講演の記録などで3脚が使えない場所で机の上に置いて使います。


VCT-500 (SONY)
重さ:340g
寸法(収納):8×22×3.5[cm]
使用時高さ:14.5、19.5[cm]

■ 手持ち撮影時の安定用


VCT-88(SONY)
重さ:210[g]

  胸やベルトに1脚の脚裏(クッション付き)を当てて手持ち時のビデオカメラの安定を図る「ハンディカムブレース」という商品で、Hi8のCCD-TR900用に入手したものをDCR-VX1000に流用しています。使っています。 Hama社のShoulder support 5513と同種の製品です。立って使う分には画面安定のためにかなり役にたちます。パンする時は腰の回転と足の動きを組み合わせて対応となります。なお、カメラを支えての移動は、画面が振動しないようにひざで振動を吸収して、ということになり、ちょっと大変です。
 カメラの取付部の下に小さな脚がしこまれていてそれらを左右に広げることで、テーブルの上でカメラの安定を図ることもできます。