FinePix F31fd(FUJIFILM)

− フィルタネジの付加でシステムカメラに −

FinePix F31fdの撮影範囲を広げる方法を紹介する "FinePix F31fd Maniac" (1.1MB)

導入の経緯


CONTAX TVSと並べて

FinePix F31グリップ型紙(参考)

 「F11と同様に高感度の撮影に強いCCDで広角側が35mmフィルム換算28mmから始まるコンパクトデジタルカメラが出たら入手しよう!!」とFinePix F11(FUJIFILM)を使い続けていました。ところが、最高感度がISO 3200のFinePix F30, F31fdに続いて登場したのは 撮影感度が2000に低下した1/1.6"のCCDで830万画素のFinePix F40fd。また、最短連射間隔も0.45秒から0.8秒に低下で使い勝手が後退したとしかいえません。画素数は600万あれば十分なのに・・。
 F11の撮影枚数も6000枚を越えたことから、「このタイプはこれが最後か・・」とF40fbの発表で実売価格の安くなったFinePix F31fdを1GBのxDピクチャカード込みで25,000円ほどで入手しました。

【使いやすく・・】
 TVSとの比較でグリップする右手側の寸法が十分確保されていることがわかります。
 F11ではボディ・レザーを前面に貼る事で冬の指先が乾燥した時にも滑ることなく安心して使えました。F31fdでは市販品がなく、クラッシックカメラ をイメージしてベルビアンのブラックモロッコ(K-201)を使って自作 しました。それがCONTAX TVSと比較した右の写真 。これで以前から使っているような気がしてき、また、自分のF31だとすぐわかるようになりました。(その後、防水プロテクター使用のため、滑り止めは剥がしてしまいました

表1 FinePix F11とFinePix F31fdの比較

項目 比較
液晶 F11では撮影条件によって液晶が全反射して視認性が悪かったのが、F31fdでは表面仕上げがマット調になり、視認性が格段によくなりました。 また、F31fdは液晶の周囲に額縁がつき、パネル面が一段引っ込んだデザインのため、不用意に置いても液晶面を傷つけることがありません。
高感度撮影の画像 F11では高感度撮影で彩度が落ちて赤がピンクに変質する感じがしたのが、F31fdでは彩度をよく保っています。
フラッシュ撮影 下の写真はF11とF31fdを用いて約40cmの距離から本棚をフラッシュ撮影したものですが、F31fdはiフラッシュの効果で白飛び しないことがわかります。また、高感度撮影でF11が彩度が落ちるのにF31fdでは彩度をよく保っていると思います。液晶モニターは日中での視認性が改善され、撮影シーン選択モードも増えました。これらの性能向上でF31fdを入手したことも意味があったと納得しています。iフラッシュは実用的でマクロ撮影で特に効果を発揮します。

[iフラッシュの効果]


FinePix F11(iフラッシュなし)


FinePix F31fd(iフラッシュ)

バッテリー F11はバッテリの残容量を気にしないで使えることがいかに重要かを教えてくれました。F31fdは撮影可能枚数がCIPA規格で約580枚としていますが、フラッシュ撮影を10枚程度行った条件で847枚を 撮影してカメラが「これ以上、撮影できない」と赤枠を表示して自動的にシャットオフしました。F11でも600枚を越えて 撮影できましたが、これを超えているようです。また、F11ではxD Picture-cardを取り出すために下部のカバーを開けるとバッテリー とカメラ側の電極の接触がなくなり、充電中のメモリカードの抜き差しはできなかったのですが、F31fdはラッチが付加され たことにより、充電中もメモリカードの抜き差しが可能となりました。外観的にはわからないですが、実効のある改善点です。
タイマー デジスコ撮影で頻繁にタイマーを使うのですが、F11ではタイマーがメニューの中にあり、操作回数が多く、使い勝手が悪いのが不満でした。F31fdでは十字ボタンで即座にタイマー設定ができるため、快適です。
撮影シーン F11のナチュラルフォト、人物、風景、スポーツ、夜景(長時間露光含む)に加えて、F31fdでは高感度2枚撮り、花火、夕焼け、スノー、ビーチ、水中、美術館、パーティ、花の接写、文字の撮影のシーンが追加されました。また、S9000と同様にブレ軽減モードが追加されています。「水中」が加わったため、勢いで防水プロテクターWP-FXF30を入手しました。
撮影モード F11と同様にシャッター優先AE、絞り優先AEをはじめ、様々なシーンポジション、動画撮影への対応などコンデジとして十二分なものです。また、なお、顔検出 (F31fdのfdは顔検出機能の意味)については撮影対象が人物以外が多いため、十分、評価するまでに至っていませんが、あると便利なのは確かです。
ホールド性・操作性 ホールド感は携帯性と相反しますが、ある程度の厚さがあった方がよいものです。F11と同様にホールドしやすい厚さですが、F11では背面の親指の位置にプレスで凹部がつけられ、前面のグリップの位置はやはりプレスで小さいですが凸部がつけられていてホールド性がよかったのが、F31では背面の滑り止めの合成樹脂と前面のモールでカメラ本体を支えるものとなり、片手に持った時のホールド感は低下しました。ズームボタンと再生などのボタンとの上下間隔がF11で15mmあったのが、F31fdでは12mmとなったことがプレスによる凹部を造形しにくくなったのかもしれません。
 F11はモードレバーが大きく、操作しやすいのですが、急いでカメラケースから出して撮影する場合はモードレバーが動いている場合があり、必ず、モードレバーのチェックが必要となります。これに対してF31fdはこぶりなモードダイヤルとなり、ケースから急いで取り出してもモードが変わっているということはないようです。また、感度補正(+顔認識)のために独立のボタンで設けられたのはよい点です。
 なお、ズーム速度が高いのはよいが画角の微調整ができず、殆ど8ステップのズームレンズというF11の操作性はそのまま、F31fdにも引き継がれています。レンズユニットを新規に開発することは開発費の面で負担なのはわかりますが、何とか改善して欲しかった点でした。

 

周辺機材など

防水プロテクターWP-FXF30に入れて
f6.4のケース
f.64 Digital Camera Bag  #2520

 水中撮影もできるように防水プロテクターWP-FXF30も入手しました。
 カメラケースは携帯電話SO505i用に入手したf.64のデジカメ用ケースの流用です。F11は角ばったデザイン とモードレバーの突出から寸法的に使えなかったのですが、F31fdは角の部分が丸くなり、モードダイヤルも小ぶりのものとなったことから 使用可能になりました。このケースはデイパックのショルダーベルトに縦位置で取り付けられることから、ネックストラップと組合せて、撮影モードに すぐ入れるようになりました。

 

システムカメラ化

 CoolPix 950CoolPix 4500で使っていた各種コンバージョンレンズを 、FinePix F11用にUR-E3(Nikon) を加工することで流用しています。FinePix F31fdを入手した時、同様にUR-E3(Nikon)の入手・加工を考えたのですが生産完了で入手不可能となっていました。また、F31fdは三脚用ネジがレンズの中心線からずれた位置にあり、仮にUR-E3を入手できたとしてもかなりの加工が必要です。
 F31fdの厚いアルミ製のリング部を見ながら「アダプタを装着できるようにネジを切っていてくれたら」と恨めしく思っていたのですが、しばらくしてCoolPix P5000(Nikon、2007年3月発売)用のアダプタUR-E20の存在を知 ることになりました。そして 「リング部にアダプタ用ネジを新設することで寸法的にUR-E20が取り付け可能になるのでは・・」と思いつきました。

■ アダプタ装着のための改造

 思いつきが実現できるか、UR-E20を入手してわかったのが、そのカメラ側のネジが一般に流通していない45mm(推定)ということでした。 そこで43->46のステップアップの43mmオネジ側に0.1mm厚の接着剤付アルミテープを貼り重ね、セメダインSuper Xクリアを塗布してUR-E20のカメラ側のネジにねじ込んで接着しました。これでUR-E20が46mm化しました。
 そしてカメラに46mmのオネジを付加するため、46->48のステップアップリングの48mm側をまず削 りました。次に、この加工したステップアップリングの接着面となるF31fdのリングの段差部の径が43mmで、ステップアップリングの内径が42.8mmと少し小さいため、ステップアップリングの内面を削って嵌め合いを確認した上、セメダインSuper Xクリアで接着しました。
 なお、テストとして単純にUR-E20にコンバージョンレンズをつけてFinePix F31fdに押し当てて撮影した時、撮影画像の周囲が甘いものとなり、少し距離を離す必要が確認されましたが、UR-E20の46mm化で胴長が伸び、カメラの46mmネジ の付加で若干の厚さを増したことで、レンズ先端とコンバージョンレンズの距離が適正な範囲になったことが実写を通して確認できました。
 FinePix F11とUR-E3の組み合わせとFinePix F31fdとUR-E20のそれを比較すると、取り付け方法の差から圧倒的に後者の取り付け剛性、そしてレンズとコンバータとの平行度などの取り付け精度も高くなりました。


FinePix F31fd 改(46mmオネジ付)+ UR-E20改(46mmメネジ化)+ワイドコンバータWC-E63(Nikon)

アダプタUR-E20改(46mmネジ対応)

46->48のステップアップリングの48mm側を削って作ってカメラに付加する46mmネジ

46mmネジをレンズ周囲のリング部に接着したFinePix F31fd


■ アダプタ装着で使用可能になったレンズ群など


上段(左より):アダプタUR-E20改、フィルタCIRCULAR PL、フィルタND-4、リングライトSL-1 (Nikon)

中段(同):FinePix F31fd改、テレスコマイクロ8×20D (Nikon)

下段(同):フィッシュアイコンバータFC-E8、ワイドコンバー タWC-E63、テレコンバータTC-E2

 FinePix F31fdのUR-E20対応により、CoolPix 9504500の時代から使っているワイドコンバー タWC-E63、テレコンバータTC-E2、フィッシュアイコンバータFC-E8が使えるようになりました。特にワイドコンバータWC-E63との組合せでは平行度が確実に出る構造となったためか、周辺画質の低下はF11との組み合わせより少ないようです。
 デジスコ撮影ではワイド側で絞り値によって周辺減光が見られますが、ケラレはありません。
 そしてアダプタの剛性不足からF11では使うことができなかったテレスコマイクロ8×20Dが、F31fd改で使用可能になったのが何よりの喜びです。ついに400万画素のCoolPix 4500は退役することになりました。
 このような改造でNikonのコンバータが利用できるのは、例えばCoolPix 990が8mm〜24mmのレンズだったようにNikonのこのシリーズのカメラの焦点距離もこれに近いもので、FujifilmのF10から始まるシリーズのレンズとほぼ同じ焦点距離であることによります。
 追加して入手したFinePix F100fdは絞りがNDの有無により2段階しかなく、絞り優先オートやシャッター速度優先ソートはできません。そこでレンズ設計の違いもあってF100fdがF31fdの後継機となることはありません。2008年現在の後継機は同じレンズを使うF60fdといえます。

表2 CoolPix 950、CoolPix 4500から引き継いだもの

周辺機材 コメント
フィッシュアイコンバータ

FC-E8
 0.21倍のコンバータ(レンズ構成は5枚4群)。約205g。
 ワイド端では35mm判換算7.56mmで円周魚眼の画像が得られ、また、視野角は180°を越えることから、水準器を用いないでもカメラを天空を向けて円周部に周囲の景色が入るように撮影すればそこそこの撮影結果が得られます。対角線魚眼 は同15mm程からとなります。
 周辺画像で画質の低下は認められますが、1眼レフ用の価格から手の出ないフイッシュアイレンズの面白さにこれで触れることができます。
 レンズキャップの固定が摩擦に頼るもので外れやすい構造で大切なレンズを傷つけてしまうおそれがあります。そこで左の写真のようにキャップ側に 結束バンド用のベース(両面テープ付)を取り付けてゴムバンドでレンズキャプをコンバータに固定しています。

 撮影サンプル 

ワイドコンバータ


WC-E24(左)とWC-E63(右)

WC-E24
 0.66倍のコンバータ(レンズ構成は2枚2群)。約64g。
 35mmカメラ換算24〜71mmとなります。FinePix F31fdとのサイズ・重さのバランスはよいのですが、WC-E63より ワイド端でのタル型の歪曲収差が目立ちます。


手前の青い屋根の湾曲が目立ちます

WC-E63
 0.63倍のコンバータ(レンズ構成は4枚4群)。約150g。
 35mmフィルム換算22.7〜68mmとなります。
 CoolPix 4500と組み合わせた時はカメラ自体のワイド側の歪曲収差が大きく、WC-E63の価値に気付かなかったのですが、F31fdと組み合わせてみると歪曲収差の少なさが際立っています。そして歪曲収差の大きいWC-E24の画像 が玩具で撮ったかのように思えてきてしまいました。そこで少々、重いですが、本コンバータが常用となりました。


手前の青い屋根は湾曲が少なく写っています

テレコンバータ

TC-E2
 2倍のコンバータ(レンズ構成は4枚3群)。約150g。
 テレコンバージョンレンズの常でワイド側でケラレが生じ、、ケラレがないのは35mm判換算120〜216mmとなります。 私は写真のように滑り止めに、レンズの胴の先端側に薄いウレタンフォームを貼り付けています。
マクロエクステンションレンズ

 TC-E2はフィルタネジ径が62mmで、手持ちのマクロエクステンションレンズMCON-35(OLYMPUS、取り付けネジ径62mm)がそのまま、 つきます。この組合わせで約33cmの距離から、ズームテレ端で35mm判換算0.66倍のマクロ撮影が可能です。カメラ単体では約5cmの距離からワイド端で35mm判換算約0.7倍のマクロ撮影に対応しますが、近距離撮影独特の画像となります。そこで意図的にそのような効果を求めない限りは合計285gと少々重いですが、マクロ撮影に不可欠な組み合わせとなります。
クローズアップレンズ

 CLOSE-UP No.3 (HAKUBA)を使って約21cmの距離からテレ端で35mm判換算0.45倍のマクロ撮影に対応。なお、CLOSE-UPレンズなしでは約28cmからの距離で0.38倍のマクロ撮影に対応。
テレスコマイクロ 8x20D

 望遠鏡と顕微鏡の機能を併せ持ちますが、色収差が目立つこともあり、超望遠はデジスコで対応し、超マクロ撮影専用としています。倍率は10〜25倍、クローズアップレンズとの組合せで25〜60倍で、対象物との距離が焦点が合うかの鍵になりますので、距離と倍率、また、クローズアップレンズの要否をまとめた一覧表が欠かせません。
 超マクロ撮影では撮影時の振動を抑えるのに三脚の使用は不可欠で、構図の微調にも調整装置が必要です。そこでmini-F & Macro Sliderを使用しています。加えて撮影では振動防止のため、セルフタイマーを使用 しています。


花の大きさ約2.5mmのナズナ

MACRO COOL-LIGHT SL-1

 白色ダイオードを光源と するもので点灯した状態で使用します。点状の映り込みができないように注意する必要がありますが、影のないマクロ撮影が簡単にできます。
デジスコ

 デジスコは、TS-613(KOWA) + TSE-21WD(KOWA)  + TSN-DA1(KOWA)  + 28mmアダプターリング(KOWA)  + UR-E20改 + FinePix F31fd改の組合せで、35mm判換算720〜2160mmの超望遠撮影、アイピースをTSE-14Wに交換した時はワイド側でケラレ、あるいは周辺減光が生じるため、これらを気にしないで使えるのは2700〜3240mmの範囲となります。TE-14WDとすれば使用範囲は拡大されるとわかっているのですが、購入に踏み切れないでいます。